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液体スズ腐食と鉛フリー・ウェーブはんだ付け PDF プリント メール
作者 Jim Morris, Matthew J. O’Keefe and Martin Perez   
2008/07/24 木曜日 17:15:29 CDT

 鉛フリー・ウェーブはんだ付けへの移行がますます増加している。ヨーロッパが通達し、中国も率先しているRoHS指令および競争圧力が速いペースでスズ鉛はんだ付けを排除している。鉛フリーが現実のものとなり、ウェーブはんだ付けプロセスのエンジニアは、電子部品実装の市場において成功するために、プロセスと装置への影響を理解しなければならない。

*訳者注記:本文献では、corrosion(腐食:金属の化学的反応による劣化現象)とerosion(エロージョン:流体の衝突などにより固体表面が機械的に損傷され脱離する現象)を区別して取扱っています。

はじめに
 鉛フリー・ウェーブはんだ付けへの移行がますます増加している。ヨーロッパが通達し、中国も率先しているRoHS指令および競争圧力が速いペースでスズ鉛はんだ付けを排除している。鉛フリーが現実のものとなり、ウェーブはんだ付けプロセスのエンジニアは、電子部品実装の市場において成功するために、プロセスと装置への影響を理解しなければならない。


背景
 主な電子部品実装における鉛フリーへの最初の移行は1990年代後半に始まった。初期の採用者は、Sn/CuやSn/Agはんだによりはんだ槽構成部品が著しく腐食することを発見した。当時、はんだ付け装置に用いられたステンレス鋼は、高濃度スズ(Sn)鉛フリー合金により急激に劣化した。図1に、無保護のステンレス鋼を約6ヶ月間Sn/Agはんだ中で使用した結果を示す。

 Sn腐食に耐える代替のはんだ槽合金およびコーティング材が開発された。ウェーブはんだ付け装置メーカーは、新しい装置や古い装置の改良のために様々なソリューションを提供し始めた。メロナイトQPQ®やねずみ鋳鉄、チタンがこれらの初期のはんだ合金に対して良好な保護になることが判明し、今日の装置においても一般に用いられている。

 初期のSn/CuやSn/Agはんだから、Sn-Ag-Cu(SAC)合金や微量のニッケルを含む鉛フリー合金に移行した。これらの新しい合金の中には、無保護のステンレス鋼のはんだ槽部品を腐食させにくくするものもあると言われている。


腐食防止方法
 はんだ槽部品の腐食を防止する方法には一般的に2つのタイプ、均質材料とコーティングがある。均質材料は、チタンやねずみ鋳鉄のように、本来スズ耐食性を持つ材料である。コーティングは、ある程度の耐食性を持つ基材に行う表面処理である。窒化チタンやメロナイトQPQのコーティングは、はんだ付け装置に多く用いられる表面処理の例である。これら全ての材料は良好なスズ耐食性を示し、実際の現場での使用において実績が証明されている。


均質材料
ねずみ鋳鉄-ねずみ鋳鉄はスズ耐食性を持つ材料であると証明されており、はんだ槽の構造材として好ましい。ある材料の他の材料への溶解を評価する方法の1つに、状態図を用いる方法がある。ある材料が他の材料に(状態図に示されたように)より多く溶解するほど、腐食やエロージョンが多く発生する。図2に、Sn-Fe系状態図の99.5~100%Snの範囲を示す。

 この状態図から、265℃(510ºF)においてFeはSnに最大0.001%しか溶解しない。溶融スズへのFeの溶解度が非常に小さいことは、はんだ付け温度においてFeが容易に溶融Snに溶け込まないことを示す。ねずみ鋳鉄中に見つかるグラファイト(カーボン)の片状物は、溶融Sn中で不溶性である。これらの片状物が障壁として振る舞い、エロージョンの可能性を減らす。図3に、Sn/Agはんだに曝された後のねずみ鋳鉄製はんだ槽の断面を示す。
 
 Sn/AgはんだとSACはんだ中で用いられた鋳鉄の現場での7年間のデータは、鋳鉄製のはんだ槽にエロージョンがほとんど発生していないことや、はんだ付けプロセスに対して有害な変化が生じていないことを示している。ねずみ鋳鉄の利点には、良好な耐食性や経済的な材料、均質構造(接合部がない)が挙げられる。一方欠点は、高価な金型費のために、はんだ槽の内部部品が非現実的なものになることである。


チタン-チタンは、はんだ槽やはんだ槽ライナー、ハードウェア、ノズル部品に用いられており、Snベースの鉛フリーはんだの耐食性において非常に優れている。一般に用いられる合金は、商用のグレード1、2、3および4である。これらの商用のグレードはチタンが99%以上であり、一般のウェーブはんだ付け温度では腐食が認められることはない。

 図4に、250℃(482ºF)で8週間Sn/Agはんだに曝されたチタンの腐食試験片を示す。チタン材料の液体金属による腐食の様子は見られない。これと比較して304ステンレス鋼には、同じ環境下において2週間でぬれが生じた形跡が見られた。

 状態図解析は、チタン部品の現場での実績を裏付けている。265℃(510ºF)の共通のはんだ付け温度で、Sn中へのTiの溶解度は0.001%以下である。図5に、Sn-Ti系状態図を示す。
 
 温度が上昇するにつれて、Sn中へのTiの溶解度が鋳鉄よりも速い割合で増える。436℃(800ºF)の高いスズめっき温度では、チタンをはんだ槽に用いることは推奨されない。このような高い温度では、チタンの腐食速度はASM Handbook of Corrosion Dataに1.0mm/yearと記され、一方鋳鉄は0.25mm/yearと記されている。

 商用の純金属の現場での実績により、チタンが鉛フリー装置での用途において優れた材料であることが示されている。チタンははんだ付け温度において優れた耐食性を示し、様々な形状に成形しやすい。

 しかし、Tiは非常に高価で、材料供給も途絶えることがあり、溶接が困難である。

 ステンレス鋼製のはんだ槽を用いる古いウェーブはんだ付け装置はしばしば旧式であり、メーカーから交換部品を取り寄せることができない場合がある。他の選択肢がない場合、この装置にチタン・ライナーを使用すれば装置の寿命が延びるかもしれない。はんだ槽へのライナーの適用は、はんだ槽の熱焼損を防ぐために、特に重要である。さらに、一旦ライナーを配備してしまえば、ドレン・バルブはもはや有用でなくなる。

(続きは後日公開)
出典:Global SMT & Packaging, Vol. 7,No. 7, pp. 26-33
訳者:(株)アンベエスエムティ 木本、安部

 

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